あなどれないね、世唯くん。
キミの、心はどこに。
「はああああ!?藍野を振っただと!?」
「ちょっ、寿々……!!
声が大きいから抑えて……!!」
あれから数日が過ぎ、
お昼休みの今、寿々に何かあったと勘付かれ問い詰められて白状した。
幸い、わたしたちの席の周りには誰もいなかったのでよかったけど、今の声の大きさだと誰かに聞かれたかもしれない。
「いやーー、信じられないよ糸羽さん。
あんな素敵なピュアボーイを振るなんてさ」
「だ、だって……、利用すればいいとか言われてもそんなのできないし……」
真尋くんに告白された日。
あれから少しして真尋くんの家を出て、特に何もなかった。
そして数日が過ぎた今では、真尋くんは前と変わらずクラスメイトとして接してくれている。
「そこは利用してでも藍野を選ぶべきでしょ〜」
「それはダメだよ……」
中途半端な気持ちで流されてしまったら、自分も傷つくし、相手も傷つくから。