あなどれないね、世唯くん。
「千景くんまだ来てないみたいだから、事情を花町さんから説明して2人で進めてくれるかしら?」
「…………」
「花町さん?」
「……あっ、わかり……ました」
「じゃあよろしくね?」
と言うと、篠原先生は準備室を出て行ってしまい残されたわたしは何も考えられずポツンと座り込んだまま。
シーンと静まり返る中、いつ扉が開くかわからない状況に心臓がバクバク音を立てる。
まさか、2人っきりなんて……。
意識するなと言われても無理に決まってる。
というか、前に世唯くんの家に泊まったあの日以来、まともに会話もしていないので気まずい……。
世唯くんは今日わたしがここにいることを知ってるのかな……。
ってか、世唯くんは補習とかきちんと来なさいって言われても来なさそうな気もする。
おそらく明日からは篠原先生が一緒にいてくれるので、今日だけでもサボってくれれば……
なんて、微かな願いは届くことなく……
扉が音を立てて開いた。