あなどれないね、世唯くん。
***
あれから千景くんは何もしてくることはなくて、普通に課題のプリントに取り組んだ。
そして迎えたお昼の休憩。
今さっき篠原先生が教室に様子を見にきて、「お昼休憩を1時間取った後にまた課題再開してね〜」とだけ言い残して、再び職員室に戻っていった。
補習は午後もあって、予定通り進めば午後の3時に終わることになっている。
わたしは自分で持ってきたお弁当を机の上に広げて食べる準備を進める。
……千景くんはお昼……どうするんだろう?
そんなことを考えていたら、座っていた千景くんが急に立ち上がった。
「あっ……」
思わず声をあげてしまった。
理由は何もない。
っていったら、嘘になる。
ただ、千景くんがどこに行くのか気になってしまって、聞こうとしたけど止めた。
「なに?なんかあった?」
「えっと……千景くんお昼は?」
無難な会話でしか繋げない。