あなどれないね、世唯くん。



門のところに立っていた、白のセーラー服に品のあるブレザーを羽織った、見覚えのある姿。


な、なんでここに……。

声をかけられて、思わず足を止めた。


「糸羽ちゃん??」

不思議そうな顔をしながら、わたしに近寄ってきて顔を見てくる。

「あ……、久しぶり……」


この前、いきなり逃げ出した手前、なんとなく気まずいし、なんでここにいるのか気になって仕方ない。

世唯くんに用事があって……?

この前電話をかけてきていたのは事実だから。
それで、会う約束でもしたとか…?


少なくとも、わたしに用事があるわけじゃないだろうから。


「今日は……誰かに会いに来たの?」

答えはわかりきっているけれど、会話を自然に続けるために聞いてみた。

すると……。


「うん、そうだよ。

……糸羽ちゃんに用があって会いに来たの」

< 236 / 339 >

この作品をシェア

pagetop