あなどれないね、世唯くん。
門のところに立っていた、白のセーラー服に品のあるブレザーを羽織った、見覚えのある姿。
な、なんでここに……。
声をかけられて、思わず足を止めた。
「糸羽ちゃん??」
不思議そうな顔をしながら、わたしに近寄ってきて顔を見てくる。
「あ……、久しぶり……」
この前、いきなり逃げ出した手前、なんとなく気まずいし、なんでここにいるのか気になって仕方ない。
世唯くんに用事があって……?
この前電話をかけてきていたのは事実だから。
それで、会う約束でもしたとか…?
少なくとも、わたしに用事があるわけじゃないだろうから。
「今日は……誰かに会いに来たの?」
答えはわかりきっているけれど、会話を自然に続けるために聞いてみた。
すると……。
「うん、そうだよ。
……糸羽ちゃんに用があって会いに来たの」