あなどれないね、世唯くん。
***
「あ、あの……、どこに行くの……?」
「んー、どこでしょう?」
あれから、加奈ちゃんに時間があるか聞かれ、付き合ってほしい場所があるのでついてきてと言われた。
断る理由もなかったので、加奈ちゃんについてきたのはいいんだけれど……。
行き先も告げられず、ただひたすら手を引かれて歩く。
ただ、どんどん不安に駆られていく。
だって、今わたしたちが足を踏み入れている場所は、駅の裏側……。
前に2人組に捕まって、世唯くんに助けてもらった界隈。
入り組んでいる道を、すいすいと進んでいく加奈ちゃん。
「こ、ここ危ないんじゃ……」
いくらまだ時間帯的に明るいとはいえ、わたしたちは制服姿だし、万が一この前みたいに変な人たちに捕まってしまったら……。
「危ないって、例えば……」
目の前を歩く加奈ちゃんがピタッと止まったと同時。
「こわーい人に捕まっちゃうとか?」
背後に人の気配を感じて、
両手首を拘束された。