あなどれないね、世唯くん。
「お昼……ね。
別に食べなくても平気だから」
だったらいったいどこに行くんだろう…って疑問が残る。
「でも、お腹すかない…?」
「すかない。
まあ、万が一我慢できなかったら花町さんのこと食べちゃうかもね」
「へ……っ?」
いたずらっぽく笑いながら、本気なのか冗談なのかわからない言い方。
「ちょっと昼寝してくるから」
そう言うと、教室を出ていってしまった。
……昼寝っていったいどこで寝るの?
保健室とか、屋上とか?
学校でゆっくりできる、くつろげる空間なんてないはずなのに。
それより……千景くんがちゃんと戻ってきてくれるのか、少しだけ不安になった。
だって気まぐれそうだし、昼寝なんて本当は嘘で、わたしのことなんて忘れてどこか行っちゃいそうだから。
同じクラスだけど、今日初めて会話を交わしたといってもいいくらいの相手に対して、どうしてわたしはこんな執着してるんだろう。