あなどれないね、世唯くん。
怖くて、声が出そうにない。
いまだに両手は拘束されたままのせいで、震えが止まらない。
「あれ、糸羽ちゃんどうしたの?
顔色があんまりよくないね」
このわけのわからない状況で平然としてるほうがおかしいでしょ……。
「まあ、そっか〜。
じゃあ、ちょっと待ってて?
あっ、2人とも、まだ糸羽ちゃんに何もしちゃダメだからね?」
すると、加奈ちゃんは少しの間ここを離れた。
"まだ"ということは……、これから先わたしは何をされるの……?
嫌でもこの状況がとても危険だということはわかる。
でも逃げ出すこともできない非力な自分。
わたしの両サイドにいる2人は特に何も話すことはない。
そして数分して、加奈ちゃんが戻ってきた。
「はい、これどうぞ。
よかったら飲んで?」
そう言って、目の前のテーブルに置かれた白のマグカップ。
湯気が出ていて、中身はおそらくホットミルク。