あなどれないね、世唯くん。
「そ、それは……加奈ちゃんがいちばんよくわかってることなんじゃ……」
過去も今も、世唯くんの気持ちは変わらず加奈ちゃんあるってことを、知ってるんじゃないの?
「えー?どうしてわたしなの?」
「そ、それは……」
「あっ、もしかして千景くんが過去にわたしを好きだったから今もその気持ちは変わってないとか思ってるの?」
ほら、やっぱり……わかってるじゃん。
この前、カフェで偶然会った時もそれをわたしに思い知らせるために、過去のことを話したんじゃないの?
「ふーん、そういうことね」
すると、スマホの音がいきなり鳴った。
すぐに加奈ちゃんが自分のスカートのポケットに手を入れて、スマホを取り出した。
「はぁ……こういうときだけちゃんと電話折り返してくるのかぁ」
そう言うと、電話に出てわたしには聞こえないように誰かと話している。