あなどれないね、世唯くん。



数分、電話の相手と話したあと
電話を切り、再びわたしのほうを見た。


「あと少しかなぁ。
それじゃ、前に話したようにちゃんとやってね?」


今のセリフはわたしに向けられたわけではなく、今も両サイドに座っている男の人たちに向けられたもの。


「はいはい、じゃあ遠慮なく」

なんて声が聞こえてきたと同時に、左側に座っていた人に肩を軽くトンッと押された。


身体はそのまま右側に座っていた人のほうへと沈み、後ろからガッチリ拘束された。


「んじゃ、動かないでね」

そして、もう1人がわたしの上に覆いかぶさってきた。

首筋あたりを指で軽くなぞられて、そのあとリボンがシュルッとほどかれた。


少し触れられただけなのに、気持ち悪くてゾクっとする。

比べちゃいけないのはわかっているけれど……世唯くんに触れられたときは、触れられたところすべてが熱くなるのに……。


今はどんどん熱を奪われて、冷たくなっていく。

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