あなどれないね、世唯くん。
怖くて、抵抗しようと思っても声が出てこないし、かわりに涙しか出てこない。
「……や……だ……っ」
やっと振り絞って出た声は、か細くて意味がない。
「うわー、涙目でそんな顔されたらなんか変なスイッチ入っちゃうよなー」
肩に力が入って、おびえることしかできない。
逃げ出したいのに力なんて入らない。
誰も助けてくれない。
そもそもここにわたしが連れて行かれたことを誰1人として知らないのだから。
助けを願うだけ無駄……。
ブラウスのボタンが上から1つずつ外され、あっという間にすべて外れた。
「へー、綺麗な肌してるね」
なんて言いながら、身体を撫でるように軽く触られてギュッと目をつぶる。
この手が世唯くんだったら……。
わたしに触れるのは世唯くんだけがいい……っ。
そう思って、世唯くんの顔を思い浮かべて。
「せ……い…くん……っ」
届くはずのない声で、名前を呼んだと同時。
ドンッと鈍い音が聞こえてきた。