あなどれないね、世唯くん。



な、なんの音……?

閉じていた目をゆっくりと開けた。

すると、目の前にいた男の人はわたしの上から退いて。

後ろにいた人も、わたしの拘束を緩めた。


いったい何が起こったのかわけがわからなくて、沈んでいた身体をゆっくり起こした。


すると、目の前にいた加奈ちゃんが……。


「はぁ、やっときたー。
遅すぎじゃない?あとちょっとで糸羽ちゃん襲われちゃうところだったけど?」


相変わらず笑顔のまま、誰に向けて言っているんだろうと思い、加奈ちゃんの視線の先をたどると……。


「え……、なん、で……っ」

息を呑んだ。
一瞬、幻を見ているのかと思った。


だってそこにいるはずのない

━━━━━━世唯くんがいたから。

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