あなどれないね、世唯くん。
「そこまで必死になるなら、自分の気持ちにちゃんと素直になればいいじゃん。なんで気づかないの?」
今まで椅子に座っていた加奈ちゃんが、立ち上がりわたしたちのほうへ近づいてくる。
「千景くんと文化祭の日話してよくわかったよ。あぁ、千景くんにも大切にしたいと思える子ができたんだって。
なのに気持ちを伝えるどころか、自分でその気持ちにすらうまく気づけてなくて、びっくりしたけどね」
さらに加奈ちゃんは話し続ける。
「文化祭の日以来、わたしが連絡取っても一切折り返してこなかったくせに。
さっき糸羽ちゃんのことで留守電残したら、折り返しかけてきて、場所と状況伝えたら必死になってここまで来たんだから」
え……うそ……っ。
世唯くんは、わたしのためにここに来てくれたの……?
「いい加減、男らしくちゃんと糸羽ちゃんに気持ち伝えればいいじゃん」