あなどれないね、世唯くん。
受け止める覚悟はできていたはずなのに、嬉しくて嬉しくて……涙があふれてくる。
「……糸羽のこと手放したくない。
俺だけの……糸羽でいてほしい」
「い、いきなりすぎるよ……っ」
今までどれだけ想っても、"好き"の2文字はもらえなかった。
付き合ってもいないのに、触れて、抱きしめて、キスをして……。
近づいてると思っていたのはわたしだけかと思っていたのに……、世唯くんの気持ちもわたしのほうに少しずつ近づいていたんだ。
「今まで、糸羽にたくさんつらい思いも嫌な思いもさせたから……ごめん」
ギュウッと抱きしめる力がさらに強くなる。
そして、世唯くんが過去のことを話してくれた。
聞いた話はほとんど加奈ちゃんが話してくれた内容と同じものだった。
加奈ちゃんが当時学校の先生と付き合っていたこと。