あなどれないね、世唯くん。

なんて言いながら、軽く触れるだけのキスをしてすぐに離れてしまった。

ほんとに少し触れただけ、一瞬。


唇は離れたけれど、わたしたちの顔の距離は近いまま。どちらかが少しでも動けば唇が触れてしまうくらい。


「ねぇ、いと気づいてる？」

「……っ？」


「もっとして欲しいって顔してる」

「っ……、」


きっとこれは、世唯くんがわざとこうしてるに違いない。

わたしがどんな反応をするのか、楽しんで見ているんだ。


「……物足りない？触れるだけのキスじゃ」

吐息がかかって、くすぐったい。

それに、さっきから世唯くんの手がわたしの身体のいろんなところに触れてくるから。


「……そ、そんな……焦らしちゃやだ……っ」

お願いって瞳で、世唯くんを見つめてみれば、フッと軽く笑いながら。


「……その欲しがってる顔、
たまんないね。もっと焦らしたくなる」