あなどれないね、世唯くん。



「……口開けて」

「ん……はぁ……っ」


もう意識がどこにあるのかわかんない。
濡れた唇から伝わってくる熱のせいで、それがどんどん身体に回っていく。


息苦しくて、ついていけない。
今までしたことがないくらい、息をするひまも与えてくれない強引なキス。


「……声、抑えないで。
聞かせてよ、いとの甘い声」


一瞬、唇が離れてそんなことを言われたかと思えば、また塞がれて……。


わたしは受けるだけでこんなにいっぱいなのに、攻めの姿勢を崩さない世唯くんは……。


「いと……俺の名前呼んで」

呼びたいのに、呼ばせる隙を与えない。


「ぅ……ぁ……」

「……そんな声出してないで、呼んでよ」


「せ…いく……んんっ」

簡単に呼ばせてくれない。
ぜったいイジワルしてる。


甘すぎる、病みつきになるキスに溺れて……。

頭がボーッとして、意識が遠ざかっていくような気がした。

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