あなどれないね、世唯くん。



***


「ん……」

ふと、意識がはっきり戻ってきたとき、
わたしは目を閉じていた。

身体が柔らかい感触に包み込まれていることから、おそらくベッドの上に寝かされている。


そして、人の体温も感じる。

ゆっくり目を開けると……。


「……あ、起きた」

「……?」


目の前に世唯くんの顔があって。
腕枕してくれていて、身体も密着していて。


「いと、キスしてる間に気失うから」

「へ……?」


「ちょっとイジワルしすぎた?」

「う……っ」


さっきまで……というか、意識があったときのことを思い出すとまた熱くなってきそう。


「いとが可愛すぎて止め方わかんなくなった」

「世唯くん……手加減してくれないもん」


「そりゃ、あんな可愛い誘い方されたら加減とか無理でしょ」


イジワルく笑いながら唇をふにふに触ってくる。

< 264 / 339 >

この作品をシェア

pagetop