あなどれないね、世唯くん。



***


あれからなんとかベッドから世唯くんを引きずり出し、制服に着替えて今ようやく歯を磨いてくれている。


「朝ごはんは今日も食べないの?」

「ん、いらない」


世唯くんは基本的に朝は何も食べないみたいで、起きてしまえば準備は早い。

ただ起きるまでが長いんだけども……。


とりあえず世唯くんの支度ができるまで、わたしは寝室にでもいようかな。


寝室に戻ってみると、いつものごとく着替えてからベッドに脱ぎ捨てられたスウェットがあった。

「ちゃんとたたまないとダメなのに」


いつも脱いだらちゃんとたたんでって言ってるのに、そのままにしちゃうから。

結局わたしがたたんでしまう。


なんかわたし世唯くんのお母さんみたいじゃん。


ベッドの上に座って、世唯くんの大きなスウェットをたたんであげる。

わたしの身体よりもずっと大きくて、
いつもこんな大きな身体に抱きしめてもらえてるんだ。

< 270 / 339 >

この作品をシェア

pagetop