あなどれないね、世唯くん。
「……なんて、そんな拗ねた糸羽がいちばん可愛いのに」
後ろからふわっと抱きしめられた。
「み、みんな見てる……っ」
「みんなって、犬しか見てないよ」
たしかに今他のお客さんいなくて、店員さんも少し離れたところにいるけど……!
子犬ちゃんたちに見られてるのもなかなか恥ずかしい。
「……機嫌直して?
いとのことこれからたくさん可愛がってあげるから」
こんな甘い言葉を聞けば、簡単に許しちゃうわたしは本当に世唯くんに甘いと思う。
「うぅ、ちゃんと可愛がってくれないとやだよ……っ」
ゆっくり身体を回して、正面に向き合って世唯くんに言ってみると……。
「何それ……。
可愛すぎて帰したくなくなる」
なんてことを言ったけれど、きちんと時間になったら家の前まで送ってくれて、
初めてのデートはとても楽しい思い出になった。