あなどれないね、世唯くん。
甘い熱、ずるさ。
「うあああ、頭が痛い……」
「もしや風邪かい糸羽さん」
ある日、朝からなんだか身体が重たくて、3時間目の授業が終わった今、机に顔をペシャリとつける。
寿々がわたしのおでこに手を当てながら。
「んー、なんか熱いような気がする」
「気がするって……」
身体がだるく感じるから、やっぱり熱があるのかなぁ……。
もし風邪ならひいたのは久しぶり。
朝はまだマシだったのに、授業を受けていたらどんどん悪化してしまったような気がする。
「とりあえず保健室行ったら?」
「でも……午前の授業あと1時間だし」
これを乗り越えたらお昼休みになるから、キリもいいし。
「我慢はよくないと思うけど」
「んー、大丈夫」
こうして、残りの1時間なんとか耐え切った。