あなどれないね、世唯くん。



「う、うん……ちょっと熱が……」

すると世唯くんがなんの遠慮もなくいきなり顔を近づけてきて……。

周りにいる子たちからざわめきが聞こえて。


「ひっ……せ、世唯く……」

何事かと思い、ギュッと目をつぶるとおでこに何かゴツンッと当たった気がした。


目を開けてみると、ドアップで世唯くんの顔があって、まるでキスしているような距離感。


「……熱いね。たぶん風邪?」

「ち、ちちち近いよ世唯くん……っ!」

周りの視線なんて全く気にしていない。


「……顔も赤いし保健室連れてってあげる」

「ひぇっ、ちょっ……!」

身体がふわっと世唯くんの手によって抱き上げられて、そのままお姫様抱っこで教室を出た。


「お、下ろして……っ、歩けるから!」

お昼休みってこともあって地味に人がちらほら廊下とかにいたりするから視線がすごいんだって……!

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