あなどれないね、世唯くん。



なのにお構いなしにズンズン歩き進める世唯くん。


「いとの体調心配してんのに」

「うぅ……っ」


結局、保健室まで世唯くんに運んでもらった。
ガラッと扉を開けると、養護教諭の先生がたまたまいないときに来てしまったみたい。


すぐにベッドに下されて、世唯くんが体温計を探して持ってきてくれた。


「熱測ったほうがいいよ」

そう言うと、ベッドの仕切りのカーテンをシャッと閉めてわたしの隣に座った。

世唯くんがベッドに乗ったせいで、ギシッときしむ。


「え、えと……世唯くん?」

「……なに?」


「熱、測りたいんだけど……」

「うん、いいよ」


「いや……だから、その……っ」

なんとなく察してほしい。
ブラウスのボタンに手をかけたまま外せない。

今ここで熱を測ろうとすれば、少しブラウスがはだけた状態になっちゃうから。

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