あなどれないね、世唯くん。



意識がぼんやりしてるけど、世唯くんがお母さんと話してる会話はかろうじて聞こえる。


世唯くん普段と少し違う……。
いつもみたいに甘える感じの喋り方じゃなくて、シュッとしてる感じ……。

なんだか大人っぽく見える。


「とりあえず、糸羽はもう部屋で寝てなさい。千景くん悪いんだけど、この子を部屋まで運んでもらってもいいかしら?」

「全然大丈夫ですよ」


すると世唯くんが再びわたしを抱き上げて。


「いと?だるくない?」

「ん、だいじょうぶ……」

優しく聞いてくれる。


そして部屋に連れていってもらって、ベッドの上に下ろされた。

もうこのまま意識が飛んでしまいそう……寝てしまいたい。


「いと、着替えないとダメでしょ」

「ん、……もうこのまま寝たい」


「制服シワになるよ」

「んー……」


もうそんなことどうでもいいと思うくらい、睡魔に襲われてくる。

< 304 / 339 >

この作品をシェア

pagetop