あなどれないね、世唯くん。
意識がぼんやりしてるけど、世唯くんがお母さんと話してる会話はかろうじて聞こえる。
世唯くん普段と少し違う……。
いつもみたいに甘える感じの喋り方じゃなくて、シュッとしてる感じ……。
なんだか大人っぽく見える。
「とりあえず、糸羽はもう部屋で寝てなさい。千景くん悪いんだけど、この子を部屋まで運んでもらってもいいかしら?」
「全然大丈夫ですよ」
すると世唯くんが再びわたしを抱き上げて。
「いと?だるくない?」
「ん、だいじょうぶ……」
優しく聞いてくれる。
そして部屋に連れていってもらって、ベッドの上に下ろされた。
もうこのまま意識が飛んでしまいそう……寝てしまいたい。
「いと、着替えないとダメでしょ」
「ん、……もうこのまま寝たい」
「制服シワになるよ」
「んー……」
もうそんなことどうでもいいと思うくらい、睡魔に襲われてくる。