あなどれないね、世唯くん。
独占欲、キミのもの。
季節は冬真っ只中。
迎えた2月の中旬。
今日わたしはある物を用意して張り切っていたのに、今は拗ねてる状態。
ぷくっと頬を膨らませる。
「……なんでこんなたくさんもらえるの」
今は放課後。
世唯くんの家にお邪魔していて、ソファに座ったまま。
目の前のテーブルに置かれた膨れ上がった紙袋をジーッと睨んでいる。
「いとがマンボウみたいに膨れてる」
「マンボウなんて失礼だよ!」
「なんか拗ねてる?」
「拗ねてる……よ」
今日、2月14日はバレンタインデー。
予想はしてたけど、世唯くんにチョコを渡す女子が多発。
受け取らないでとは言えないけど、あまりの数の多さにヤキモチを焼いてしまう。
「なんで拗ねるの?」
「チョコ……」
「食べたいの?」
「ちがぁう!」