あなどれないね、世唯くん。
世唯くんがモテるのはわかるし、これくらいのことで拗ねるわたしの心はめちゃくちゃ狭い。
「こんなたくさんもらえるなんて、世唯くんモテモテじゃん……」
さらに頬をぷくっと膨らますと、横に座っている世唯くんが指でツンツンしてくる。
「別にこんなのもらえても嬉しくないけどね。肝心の彼女はまったくくれる気配ないし」
「うぬ……っ」
わたしのチョコレートはカバンの中に眠ったまま。
だってこんな数のチョコ目の前にしたら、渡す気なくなるっていうか、いらないとか思われたらどうしようって感じで。
他の女の子からのチョコは、手作りで可愛くラッピングされたものもあれば、有名なロゴが入った高級なチョコレートだったり……。
わたしのなんて、しょせん普通の手作りだから何も可愛くないし、凝ってもいない。
シンプルなものがいいと思って、ほろ苦い生チョコを作ったけどシンプルすぎて他に負けて撃沈……。