あなどれないね、世唯くん。
「マンボウちゃんはいつ俺にチョコくれんの?」
なんて呼び方してくれるんだ。
マンボウちゃんだなんて。
「別に、こんなにもらってるから、わたしのなんていらないでしょ?」
あぁ、拗ねて可愛くないことを言ってしまった。
これで、「あーそうだね。じゃあもういらない」とか言われたらショックで泣いてしまいそう。
「いらないなんて言ってないのに。
拗ねてないで、ちゃんとちょーだいよ」
「で、でも……」
「俺は糸羽のチョコが欲しいって言ってんの。
他の子のなんていらない、いとのが欲しい」
「っ、」
いらないって言わずに、こうやって言ってくれる世唯くんは優しい。
わたしが勝手に拗ねて一方的に怒ってるのに。
そばに置いてあるカバンから、生チョコが入った箱を取り出す。
「他の子と比べたら、すごくクオリティ低い…から」