あなどれないね、世唯くん。
クオリティの低さは最初から伝えておかないと、変にすごいの期待されても困るし……。
シンプルな黒の箱に、赤のリボンでラッピングした。
「他の子と比べなくていいし。
ってか、比べる気とかないから」
と言いながら、世唯くんが嬉しそうな顔をしてリボンをほどいた。
「へー、これって生チョコ?」
「う、うん。手作りだからあんまり形きれいじゃないかもだけど」
正直、お菓子作りとか全然自信ない。
だって男の子にチョコを作ったのなんて小学校のときくらいだし。
もちろんそのときは義理だけども。
「美味しそうだね。食べてもいい?」
「ど、どうぞ」
箱の中に並んだ、6つの生チョコのうち1つを指でつまむと、そのままパクッと口に運んだ。
「ん、あんま甘くないね」
「ビターにしたんだけど、甘いほうがよかったかな?」