あなどれないね、世唯くん。



向けるわけないと思うし、でも向かないとイジワル世唯くんは何してくるかわかんないし。


覚悟を決めて、ゆっくり世唯くんがいるほうへ振り返った。


「っ、!」

とにかく目線を下に落として、自分の顔を隠す。


「なに、恥ずかしいの?」

「だって、世唯くん何も着てないから……!」

目のやり場に困るんだってば…!


「へー、意識してんだ?」

なんて言いながら、片手で隠す手をつかんで、もう片方の手は顎に添えられて、クイッとあげられ目が合う。


「……顔真っ赤。
なんでいとのほうが真っ赤なの?」

「やっ、……だって、世唯くん服着てないから…」


「恥ずかしいのは俺のほうなのに」

「ぅ……っ」


それはそうだけど、見てるこっちだって心臓バクバクなんだから。


「もう、早くお風呂行ってください……っ」

「もっといとの困る顔見たいね」

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