あなどれないね、世唯くん。



噛みつくようなキス。

タガが外れたように、息もするひまもなくて、ついていくこともできない。


キスだけでいっぱいいっぱい。
これから先起こることなんて、予想もできない。

キスより先なんて…したことないから。

ただ、世唯くんにすべてをあずけるしかない。


「せ、い……く……んっ」

「はぁ……っ、無理ほんと可愛すぎ」


もうどこに意識を向けたらいいのかわからなくて、されるがままなるけれど


身体に触れられるたびに、甘ったるい声が漏れて、それが抑えられない。


「ん……っ、それやだ……っ」

「声抑えないで。甘い声聞かせて……」


想像以上に恥ずかしくて熱い……。
ジワッと涙で視界がにじむと、世唯くんが指で涙を優しく拭ってくれる。


そのまま、不安をかき消すように優しく甘いキスをしてくれる。


こんなに甘いの知らない……っ。
どんどんおかしくなって、自分がわからなくなる。

< 335 / 339 >

この作品をシェア

pagetop