あなどれないね、世唯くん。
「もし……キスしていいなら糸羽からして?」
息がかかって、世唯くんの誘惑に思考は停止寸前。
たぶんもう、完全に今のわたしは理性を失ってる。
たとえ、目の前にいる世唯くんがわたしを見ていなくても……わたし以外の人を想っていても……。
それでもいいから、今この瞬間の世唯くんに溺れたい、溺れさせてほしい。
少しだけ顔を上げて、
唇を押し出すと、
やわらかい感触が伝わった。
あぁ……ダメだってわかっていても、止められないし、止めてほしくない。
「いと……可愛い……」
「っ……」
この瞬間、わたしは踏み込んではいけない世唯くんの甘さの虜になった。