あなどれないね、世唯くん。



「イジワルしてないよ。
いとの身体が勝手に反応してるだけでしょ?」


こっちは触れられただけで、簡単に身体の熱が上がって、余裕がなくなるのに。


世唯くんは、むしろそんなわたしを見て焦らすのを愉しむことばかり。



「俺もいとに触れたいのに我慢してるの。
だから……早くいとからして欲しいこと言ってよ」


「ずるいよ……っ」


「ずるくない。
何も言わないならもう二度と触れないよ」


ぜったいわたしの口から言わせるつもり。

いつもそう。



「……手、ギュッて繋いで」

「ん、いいよ」


指を絡めてきたので、ギュッと握るけど、世唯くんは握り返してくれない。


お願いしたのに、なんでって顔をして見つめれば、満足そうに笑いながら。



「その物足りなさそうな顔ものすごく好き」


「ちゃんとお願いしたのに…っ」


「そんな顔されたらもっといじめたくなる」

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