あなどれないね、世唯くん。



「ん……いと……」

甘えるような声を出して、頬をすり寄せる仕草がまるで猫みたい。


「せ、世唯くん?どうしたの?」

サラッとした黒髪を、よしよしと撫でてあげるとさらにギュウッと抱きついてくる。

というか、身体に触れて気づいたんだけどなんか世唯くんの体温熱くない?

もしかして体調悪いんじゃ?


抱きついてくる世唯くんを少し離して、おでこに触れてみると見事に発熱してるレベルの熱さ。


「う、うそっ、世唯くんめちゃくちゃ熱いよ!」

「ん……熱い……?
そーいえば、なんかいつもより身体熱いしだるい」


「たぶん風邪だよ…!」


ってか、自分の身体のことは自分がいちばんわかるはずなのになんで自覚してないの!


「……かぜ?
あんまひいたことないから、感覚がわかんない」


か、感覚がわかんないって。
ふつう風邪ひいたら身体だるいし、熱出るし、他にも症状あるからわかるはずなのに。

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