あなどれないね、世唯くん。



それからおかゆをペロリと完食して、ゼリーも食べて薬も飲んでくれた。


「よし、それじゃ世唯くんは寝ててね?
わたしは食器とか片付けてくるから」


ごはんもちゃんと食べたし、薬も飲んだし、氷の枕も準備して。

あとは世唯くんがゆっくり寝て、回復してくれればいいな…というところまできた。


サイドテーブルの上を片付けて、お盆を持ったまま立ち上がろうとしたけどできなかった。


「っ、世唯くん…?」

「……いと、いっちゃダメ」


手をつかんで、そのままギュッと繋いできた。
まるで離さないように、逃さないように、指まで絡めてきた。


「でも、片付けあるから…。
わがまま言わないで、ね?ちゃんと寝ないとよくならないよ?」


「いとがそばにいないなら寝ない」

「えぇ」


世唯くんってこんなに甘えん坊だったっけ?
さっきからわたしにベッタリ。


「……そんな片付けあとでいーじゃん」

「でも……きゃっ」

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