あなどれないね、世唯くん。
あぁ、もうほら。
こうやって簡単に世唯くんのペースにはまる。
繋いでいた手が、いつもより少しだけ弱い力で引かれた。たぶん、風邪のせいで力が入らないんだと思う。
でも、男の子の力だからわたしの身体を引っ張って寄せるには充分な力の強さ。
あっという間に世唯くんのベッドに引き込まれた。
「はぁ……いとの抱き心地すごくいい」
後ろからギュウッと抱きしめたまま、身体を密着させてくる。
「うぬ……っ」
これは寝るまでぜったい離してもらえない。
でもきっと風邪で体力は落ちてるし、ごはんを食べたから眠くなるのも時間の問題だと思う。
だから少しの間、ドキドキと戦いながら辛抱するしかない。
だけど、この考え方は間違っていたかもしれない。
「んー……なんかクラッとくる」
「え……?」
「いつもより理性が保てないのに、いとが腕の中にいるとか拷問みたい」
「えぇ、自分から引き寄せたんじゃん…!」