あなどれないね、世唯くん。
本来ならわたしもあのフリフリのワンピースを着なきゃいけなかったんだけど、断固拒否した結果なんとか免れることができた。
「花町も着たら似合うと思うけど」
「いやいや、お目汚しもいいところだよ」
「花町ってさー、自分のこと低く評価しすぎじゃね?ぜったい自分のこと可愛くないとか思ってるじゃん」
「うん。だってわたし可愛くないし」
そりゃ、寿々みたいに可愛かったら自信もつくだろうけどさ。
わたしは中の下くらいだし。
「ほら。可愛いくせにそういうこと言うなよ」
藍野くんってば、さらっと可愛いって言うなんて不意打ちすぎるからやめてほしい。
「お世辞でも嬉しいよ」
「俺はお世辞で人を褒めたりしないし」
「……?」
パッと藍野くんの顔を見てみれば、なんだか都合が悪そうな顔をしている。
「……なんでこうも鈍感なんだよ」
頭をくしゃくしゃかきながら、何やら困ってる様子。
こうしてなんだかんだ、放課後作業をしているうちに藍野くんと話す機会が前よりもっと増えた。