あなどれないね、世唯くん。



「これで……おわり?」


「糸羽はどうしたい?」


「……もっと、して欲しい……っ」


こんな欲ばかりの自分なんて好きになれない。

けど、わたしをこんなふうにしたのは世唯くん。


手を握って指を絡めることも、

キスをすることも、

それ以上を求めることも……。


ぜんぶ、世唯くんに教えてもらったんだから。



「……そんな可愛いねだり方どこで覚えたの?」


「世唯くんから…教えてもらったもん」


「悪いこと教えちゃったね」


細くて、綺麗な指先が唇に伸びてきて、ただなぞるだけ。


「いとの唇って、すごく危険なんだよ」

「……っ?」


「柔らかくて……くせになる」


スッと唇を奪われた。


さっきみたいに触れるだけじゃない。

唇の形をたしかめるように、何度も何度も離れて、くっついての繰り返し。


「……はぁっ」


「いとの唇……甘い」

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