あなどれないね、世唯くん。



教室で食べるか、それとも2人でどこかで違う場所で食べるか。

藍野くんは少し考える仕草を見せると、「……花町と2人っきりがいいから屋上にしたい」って言われたので屋上へ。


藍野くんが屋上の重い扉を開けてくれて、踏み入れてみると、見事に誰もいない。


もうそろそろ時期も寒くなってきたので、屋上の出入りは少ないのかな。


壁を背にして座ると、その隣に藍野くんも座った。

意外と距離が近かった。
もっと離れて座るのかと思ったら、肩が触れるくらいの距離で藍野くんが座るから、ちょっとびっくりした。


「ラッキーだな、2人っきりで貸切じゃん」

「ほんとだね」


久しぶりに世唯くん以外の人と過ごすお昼休み。


「んじゃ、食べるか」

「うん」


いつもお昼休みは世唯くんに会うためだけに時間を使っているから、お昼を食べるのは5時間目が終わってから。


「そーいえば、花町っていつも昼休み何してんの?」

「え??」

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