あなどれないね、世唯くん。



するとここで会話は切れてしまい、藍野くんはパンをかじりながら何も言ってこないので、わたしも食べ進めることにした。


しばらく沈黙が続き、お弁当を食べ終えてしまった。

何か話したほうがいいかと思い口を開こうとしたら藍野くんが先に開いた。


「さっきも聞いたけどさ」

「う、うん」


「お前は……昼休み誰と一緒に過ごしてんの?」


藍野くんの今の声のトーンが妙に緊張した。

だって、いつもより落ち着いて真剣だったから。


「ひ、1人で……寝てる」

本当のことは言えない……言っちゃいけないと判断して、とっさに出てきたバレそうな嘘。


「へー、どこで寝てんの?」

「ほ、保健室……」

「嘘つけ。病人じゃないやつが毎度ベッド貸してもらえるかよ」

「うっ……」


あっさり嘘だとバレてしまった。
だって、まさかそんなこと聞かれると思ってなかったから、答えを用意してなかったし。

< 86 / 339 >

この作品をシェア

pagetop