あなどれないね、世唯くん。



「嘘ついてまで隠すってことは、バレちゃいけない相手と一緒にいるわけ?」

「べ、別にそういうわけじゃ……」


するとさっきまで重なっていなかった手が、いきなり重なってきた。

思わず手を引こうとしたけど、それを阻止するようにグッと力を込める藍野くん。


「じゃあ、これから俺と昼一緒に過ごしてって言ったら過ごしてくれるよな?」

「え……」


「だってお前1人で保健室で寝てんだろ?」

ぬぅ……。
嘘ってわかってるのに、それをうまいこと利用されてしまった。


「いいよな?もし拒否すんなら、お前が昼休みどこに行くかついていこうかなー?」

「なっ、それはずるいよ…」


「ずるくねーよ。それに、ずるいのはお前のほう。何か隠してるっぽいし」

「うっ……」


なんだか藍野くんに見られると、すべてを見透かされそうで怖いからうつむく。

すると、藍野くんの手がゆっくりわたしのほうに伸びてくるのが見えて、そのまま頬に触れた。


そして、無理やり藍野くんのほうを向かされた。

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