あなどれないね、世唯くん。



いや……わたしから見れば最近の藍野くんは悪者に見えるんですけども。

なんてことを言えば、さらに日にちの延長をされかねないので黙っておこう。


……にしても、1週間世唯くんに触れてもらえないだけで、だいぶさびしく感じる。

そして、さびしさを感じると同時に虚しさも感じた。


世唯くんは授業はたまにしか出ないので、教室で顔を合わせる回数は少ない。

もちろん、会話は全然交わしていない。


そして、わたしがお昼休みに会いに行かなくなっても、世唯くんは何も言ってこなかった。


少しだけ……ほんの少しだけ期待してた。
「なんで俺に会いに来ないの?いとがいないとさびしい」なんて……言ってくれるかもしれないって。


だけど、そんな期待はあっさり裏切られて、残酷にも1週間は流れた。


このときはっきり証明されたと思った。

会いたいのはわたしだけで、世唯くんはわたしに会えなくてもべつに平気なんだと。

< 90 / 339 >

この作品をシェア

pagetop