あなどれないね、世唯くん。



「え……、藍野くん顔赤い…よ」

顔だけじゃなくて耳まで真っ赤にして、わたしに指摘されてハッとしたのか腕で顔を隠した。


「っ、いや……そりゃ赤くなるだろ……」

「……?」


「もう想像以上の破壊力……。
こんな姿、他の男見たらぜったい手出してる」


てっきり似合ってないから笑われるのかと思ったのに、藍野くんはよくわからないひとり言をぶつぶつ。


そして、もう一度ジーッとわたしを見ると、今度はなぜか距離を詰めてきた。

何事だろうと思い2、3歩後ろに足を下げると、見事に足を滑らせる始末。


「うわ……っ!!」

間一髪。
わたしの身体は床に打ちつけられることなく、藍野くんに腕をつかまれて転ばずにすんだ。

「……ったく、あぶねーな」


ふわっと抱き寄せられて、優しい柔軟剤の匂いが鼻をかすめる。


「ご、ごめんね…」

再び顔を上げると、藍野くんは困った様子を見せる。


「…っ、お前さ……その上目遣いやばいよ」

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