魔法に囚われて〜誘拐されて溺愛されてます〜
ジュエルはしっかりレンを抱きしめる。ジュエルの胸の中で、レンは声を上げて泣いていた。まだ三歳だというのに母と引き離されていたのだ。ジュエルの目からも涙がこぼれる。

「レンも僕の魔法で眠らせたんだ。本当はお金で雇った山賊に二人を連れてきてもらうつもりだったんだけどね」

ユーゴは空中からほうきを取り出す。ほうきはキラキラと光の粒を地面に落としていた。魔法のほうきだ。

「魔法使いといえばほうきだよね」

ユーゴはそう言い、ほうきを宙に浮かせる。そして、「お姫様、どうぞ」とジュエルとレンを跨らせ、自分も跨った。

「しっかりつかまっていてね!」

ユーゴがそう言い、慌ててジュエルはレンを包みながらユーゴの腰に腕を回す。レンはおずおずユーゴの腰に腕を回した。

「では大空の旅へ!!」

ユーゴがそう言うと、ふわりとほうきが浮き上がり、開け放たれた窓から飛び出していく。ジュエルとレンは驚き、自分たちが空を飛んでいることが夢のように感じた。
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