真夜中になるとやってくる
土曜日になるとやってくる。       
真夜中になるとやってくる。  


どんなに私が眠っていても、お構いなしにやってくる。

「ねえ、起きてよー」

ほら、今夜もやってきた。 

甘ったるい声だ。耳障りな声だ。幾度となく「来るな」と声を荒げたが、言うことを聞くつもりなど毛頭ないらしい。

今夜も私は根負けした。

ベッドから起き上がってテーブルに座り直す。テーブルと言っても単身者用の小さめのやつで、テーブルの縁だけがグレーで、後は全て真っ白という、いかにも安っぽいそれである。

私が座るとあいつは正面に陣取る。私は目を背けたまま面倒臭そうに前髪を掻き上げる。勿論、あいつの顔などは見ない。理由はただ一つ。嫌いだからである。


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