見習い夫婦~エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます~
わしゃわしゃと髪を揺らす大きな手がものすごく気持ちよくて、うっかり立ったまま寝そうになっていたとき、周さんが唐突に問う。


「今日、なにかあったのか? 栗山が洗礼を受けたと言っていただろう」


そこで昼間の一件を思い出し、睡魔が一旦どこかへ引っ込んだ。

そういえば、彼もほのかちゃんが漏らした言葉を聞いていたんだっけ。たいして深刻な話ではないから、すべては打ち明けなくてもいいかな。


「……ちょっと、婚約者としての自信をなくしかける出来事があって」


苦笑交じりに答えた途端、周さんの表情がさらに険しくなってしまったので、私は安心させるように笑顔を見せる。


「でも、周さんと近づけたような気がするので、持ち直してきました」


これは本当のことだ。今日は一段と彼が世話を焼くから、そちらのほうが気になって、熟女三人組のことはどうでもよくなりかけている。

私たちは不釣り合いかもしれない。しかし、周さんがこの私を選んだのは事実で、特別な存在だと感じてくれているはず。今こうしているだけで、私はここにいてもいいのだと思える。
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