見習い夫婦~エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます~
他人事のようにおどける母だが、トレヴァーさんは泰永のお茶を褒めてくれたのだから、もっと喜んでほしい。

どうやらお茶の件よりも、私の様子がわかったことのほうが嬉しいみたいだ。


『希沙、生き生きとしてるわね。よかったわ、元気そうで』


心底安心したような声が聞こえ、私も頬を緩ませて「うん」と頷いた。

不安要素だった橘さんたちとの関係は、今もまだ壁を感じるが、あからさまな嫌味を言われたりすることはなくなった。

ほのかちゃん曰く、彼女たちは私の煎茶道のお点前に見入っていたそうで、それ以来少し私の見方が変わったんじゃないか、ということだった。

給仕の仕事もだいぶ覚えてきたし、ほのかちゃんや藪さんとは仲良くやれているし、なかなか楽しい日々を過ごしている。

周さんとも、最初に比べれば親密になれてきたし……。

愛おしき婚約者様との最近のやり取りを思い返して、ひとり照れ臭くなりつつ実家の様子も聞いてみる。


「そっちも皆元気?」

『ええ、心配しないで。今出かけてていないけど、陸も希沙の声を聞きたがってたわよ』

「なにあの子、可愛い」
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