見習い夫婦~エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます~
「兄は玄米茶の玄、弟は中国の茶祖、陸羽(りくう)から取って陸。すごい名づけ方ですよね」

「希沙と玄くんは両親が違うんだろう? それなのに、ふたりとも茶に関係のある名前っていうのがまたすごいな」


彼の言う通りで、私はこくこくと頷いた。私たち家族は、なるべくしてなったのかもしれない。


「周さんの名前の由来はなんですか?」


彼はどうなのだろうと気になり、なにげなく問いかけてみた。すると、表情は変わらないが、どことなく冷めた調子の声が返ってくる。


「さあ……聞いたこともないな」


……なんだか、お祖父様の話をするときと雰囲気がまったく違う。

そういえば、彼のご両親についてはあまり教えてもらっていない。いずれ私も会うことになるし、予習のつもりで「じゃあ、周さんのご両親はどんな方ですか?」と質問を変えた。

彼は私からゆるりと視線をはずし、少しだけ考えを巡らせて口を開く。


「父は穏やかだが、寡黙な人だよ。仕事人間で、家のことはすべて母に任せるような、古いタイプの男だ」


感情を読み取れない抑揚のない口調で、続けてお母様についても語りだす。
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