見習い夫婦～エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます～
しかし、「ただ、失礼を承知でデリケートなことを言わせてもらうと」と続けられたので、再び彼女の言葉に意識を集中させる。


「すぐにでも子作りをしたほうがいい。個人的には、子供を授かってからの結婚でもいいと思っているわ」

「え？」


お母様の口から飛び出したのは意外なことで、私は面食らった。親としては、普通は順序を守ってほしいだろうに、まさか授かり婚を推奨されるとは。

呆気に取られる私の横で、周さんはものすごく不愉快そうなため息をつく。


「本当にデリカシーの欠片もないな……」

「これは大事なことよ。希沙さんにもよく理解しておいてもらいたい」


彼の呟きをものともせず、お母様はきりりとした顔つきを保ったまま、子作りをしたほうがいい理由を説明する。


「女性の身体にはタイムリミットがある。あなたはまだお若いから時間はあるけど、もしも不妊症だった場合は悠長にしていられない。希沙さんだけじゃなく周だって、子供を作れるかどうかはわからないでしょう」


確かに、自分が自然に妊娠できる身体かどうかは、避妊しないことにはわからない。自分は問題なくても、男性側に原因を抱えていることもある。

その場合、子供を産むまでに時間と労力を費やすことになる。だから早めに実行したほうがいいということなのか。
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