見習い夫婦~エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます~
彼女からは「当然、跡取りがいないと困るわ」という毅然とした声が返ってきて、無意識に太腿の上に置いた手をぐっと握った。
しかし、ただ子供のことを考えているわけではないらしい。周さんに向かって、落ち着いた口調で諭す。
「あなたが希沙さんを大切に想っているのはわかる。だからこそ、彼女に無理をさせないための事前対策として話をしているの。結婚する前に確かめておいたほうがいいことはたくさんあるのよ」
それを聞き、私はここへ来たばかりの頃のことを思い出した。『結婚生活を送るにあたって、身体の相性を確かめておくことは大事だろう』と、周さんが言っていたことを。
あのときの彼は、私が子作りを苦痛に感じるなら結婚を改めて考える必要がある、という意見だった。今のお母様も、それと同じなのだろう。
周さんもそのことに気づいたらしく、お母様から視線をはずして口をつぐんだ。しばしの間を置いて、暗い声色で静かに告げる。
「これは俺たちの問題だ。どうするかはふたりで決める」
不穏な空気が漂う中、お母様は小さく頷き、「……そうね。でも、今の話も頭に入れておいて」と念を押す。
情けない私はなにも意見することができず、ただただふたりの会話を耳に入れているしかなかった。
しかし、ただ子供のことを考えているわけではないらしい。周さんに向かって、落ち着いた口調で諭す。
「あなたが希沙さんを大切に想っているのはわかる。だからこそ、彼女に無理をさせないための事前対策として話をしているの。結婚する前に確かめておいたほうがいいことはたくさんあるのよ」
それを聞き、私はここへ来たばかりの頃のことを思い出した。『結婚生活を送るにあたって、身体の相性を確かめておくことは大事だろう』と、周さんが言っていたことを。
あのときの彼は、私が子作りを苦痛に感じるなら結婚を改めて考える必要がある、という意見だった。今のお母様も、それと同じなのだろう。
周さんもそのことに気づいたらしく、お母様から視線をはずして口をつぐんだ。しばしの間を置いて、暗い声色で静かに告げる。
「これは俺たちの問題だ。どうするかはふたりで決める」
不穏な空気が漂う中、お母様は小さく頷き、「……そうね。でも、今の話も頭に入れておいて」と念を押す。
情けない私はなにも意見することができず、ただただふたりの会話を耳に入れているしかなかった。