見習い夫婦~エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます~
「あれは君の本心なんだな?」


もちろん、その確認にも自信を持って答えられる。緊張で鼓動が速まるのを感じながらも、しっかりと頷く。


「はい。私、周さんのことが──っ」


意を決して告白しようとした、そのときだ。突然、彼の手の平で口を塞がれて息が止まる。

び、びっくりした! なに!?

目を白黒させて周さんを凝視すると、彼は深く息を吐き出し、私が背にしている壁にゆっくりと手をつく。

口を塞がれたまま、脱力した壁ドンをされているおかしな状況の中、頭を垂れた彼がため息交じりに言う。


「悪い、今聞くべきではなかった……。部屋まで我慢できなくなるところだったよ。ここ数週間ずっと君を抱きたくて、もうとっくに限界なんて超えているんだが」


さらっと口にされた言葉たちに、驚いた私は「んん!?」とくぐもった声を上げた。

私を抱きたいと思っていたの!? もしかして、この間『限界も近い』と言っていたのも、そういう意味?

呆気に取られていると、彼はようやく私の口から手を離して顔を上げる。

情欲と切なさが入り交じって歪むその表情は、これまでに見たことがないほど感情を露わにしていて、胸の奥がギュッと掴まれる感覚がした。

……ああ、今やっと見つけられた気がする。あなたの、心を。

< 171 / 275 >

この作品をシェア

pagetop