見習い夫婦~エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます~
「一柳家は、当時の侯爵の功労が認められて今でも恩恵を受けている特例だ。富井家も親交があったらしいけど、だからこそ自分たちとは違う華々しい生活を送る一柳家には恨みを持ってる。つまり、ただの八つ当たりだよね」
家同士の確執があったことを明かした彼は、くだらない、といったふうに鼻で笑った。
「それが家に根づいちゃってるもんだから、俺も自然にそういう意識になってたんだ。イチにはなんの恨みもないのに、〝一柳家の人間には関わるな〟って忠告され続けて、あいつを毛嫌いするようになってた」
「それであんな態度を……?」
「まあ、あいつのすかしたところは普通に気に食わなかったけどね。思春期は特に。なんで女子ってああいう冷たい男が好きなのかねぇ」
理解不能だ、と言わんばかりに小さく首を横に振る富井さん。あけすけな彼にはちょっと笑ってしまうが、少々気の毒な気持ちになる。
やっぱり、周さんを心底嫌っているわけではなさそうだ。家のことで否応なく対立するようなってしまったのは、とてもやるせない。
しかし、彼はさっぱりとした調子で「それはさておき」と話を戻す。
家同士の確執があったことを明かした彼は、くだらない、といったふうに鼻で笑った。
「それが家に根づいちゃってるもんだから、俺も自然にそういう意識になってたんだ。イチにはなんの恨みもないのに、〝一柳家の人間には関わるな〟って忠告され続けて、あいつを毛嫌いするようになってた」
「それであんな態度を……?」
「まあ、あいつのすかしたところは普通に気に食わなかったけどね。思春期は特に。なんで女子ってああいう冷たい男が好きなのかねぇ」
理解不能だ、と言わんばかりに小さく首を横に振る富井さん。あけすけな彼にはちょっと笑ってしまうが、少々気の毒な気持ちになる。
やっぱり、周さんを心底嫌っているわけではなさそうだ。家のことで否応なく対立するようなってしまったのは、とてもやるせない。
しかし、彼はさっぱりとした調子で「それはさておき」と話を戻す。