見習い夫婦~エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます~
彼の心情と言動の意味がわかり、私も納得して頷いた。


「変わろうとした富井さんはすごいです。それだけで一歩踏み出してるんだから。きっと周さんと解り合えるときが来ますよ。ふたりが仲良くなってくれたら、私も嬉しいです」


笑みを浮かべ、思ったことを率直に口にすると、富井さんは真顔になって目をしばたたかせる。


「希沙ちゃんってほんと、前世は女神だったんじゃないの。あの悪魔に汚されないでよ」

「富井さん……」


周さんと仲良くしたいはずなのに普通に悪態をついてますよ。もう染みついちゃってるんだろうな……。

苦笑を漏らして脱力した、そのときだ。


「誰が悪魔だって?」


茶室の入り口のほうから不機嫌極まりない声がして、私と富井さんは同時にそちらを見やる。

襖に手をかけ、仏頂面で立っているのは、もちろん私の婚約者様だ。

今日富井さんが来ることを知っていたから、洋館に戻ってこない私たちの様子を見に来たのだろう。
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